「人と人との繋がりの中でしっかり生きていこう」(南澤道人貫首) 教育者としての長谷川五作先生(その十)

会長 赤地 憲一(高17回)

 令和3年(2021年)を迎え、会員皆様にはご清祥の段、心よりお慶びを申し上げます。日頃は母校のために格別なご支援を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
 さて、コロナウイルスの感染拡大が止まりません。折しも、南澤道人氏( 中学18回、93歳)が曹洞宗最高位の管長、並びに大本山永平寺(1244年創建)の貫首に就任されたことが、報道で大きく取り上げられました。この非常時にあたり、曹洞宗管長のお考えに関心を持っておりましたところ、幸いにもご見解を拝聴する機会に恵まれました(電話談)。「地球の大地から宇宙に至るまで、すべての生命が生きているという自覚の中で、自分も他人も互いを尊び、一人一人のつながりを大事に、しっかり生きていこう。」と仰せられました。
 新型コロナが武漢の風土病で終わらなかったのは、グローバル化の負の遺産とも言うべきものです。それゆえ、現代は新興感染症が出現しやすい状況にあり、同時にその対応が自国優先になりがちな現況もありますが、国際協力が最善の解決策であると、南澤道人氏は指摘されたものと存じます。



 教育者としての長谷川五作先生(母校勤務: 大正12年・1 9 2 3 年~ 昭和30年・1955年)について書かせて頂いておりますが、今回は、坂城支部総会(平成30年5月)と上田支部総会(令和元年7月)でお聞したお話です。
 中沢巳木氏(高4回・坂城支部)は、「現在、葡萄2反歩とバラを作っているが、農学校で学ばなかった自分にこれができるのは、長谷川先生から生物学の基本を教えていただいたから」と述懐されておられました。また、岡沢今朝仁氏(高6回・前上田支部長、令和2年8月ご逝去)は、在学中ご自宅庭のケヤキの木に産んだ鳩の卵を持って長谷川先生のところに赴くと、先生は「鳩のヒナを育てることは極めて難しい。もし君が育てられたら生物の評価点5点をあげよう。」と言わ
れ、同時に「鳩の餌はヒトの唾液を混ぜて与えるように」と指導されたとのことです。生徒会誌『ことだま』(昭和8年刊)の中でも、長谷川先生は「親鳩の胃中から出る消化液は、ヒトの唾液でも代わりになる」と記述されておられます。


 新型肺炎感染で予断の許さない状況の中、会員皆様の切なるご健勝、益々のご活躍をお祈りして、ご挨拶といたします。