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「卒業生のご寄付ほど有難いものはありません」

(ドラマ「あさが来た」)
 教育者としての長谷川五作先生(その四)
           会長 赤地 憲一(高17回)
 平成29年を迎え、会員皆様にはご清祥のことと、謹んで新しき年のご挨拶を申し上げます。日頃は母校のために格別なご支援を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
 さて、創立以来長年の懸案となっている同窓会館建設及び6年後の「創立100周年記念事業」へのご寄附につきましては、格別なご配慮をいただいておりますことに、まずは心より厚く御礼を申し上げます。昨年4月の募金開始以来、8カ月で6000万円を超えるご浄財を賜りました。全国各地…静岡では居酒屋、新宿では高層ビル42階の社長室、長野市では病院の院長室、等々、また職域関係でも会員皆様には温かくお迎え下さり、母校の懐旧談とともに格別なご芳志を賜りましたことに、心からの感謝を申し上げます。NHKの朝ドラ「あさが来た」のセリフの一節に「西洋の学校は昔から卒業生の寄付で成り立っているのです。」というものがありましたが、こうした恩恵とともに、「郷愁は過去の産物ではなく、現在によって引き出され現在の中で意味を獲得するものである。」(註1)という皆様のご活躍の様子にも敬意を表する次第でございます。
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 「教育者としての長谷川五作先生(母校勤務:大正12年・1923年~昭和30年・1955年)」について書かせていただいておりますが、今回は、長谷川先生の愛弟子西澤一俊氏(中学第2回・東京教育大学名誉教授・植物学)にご登場いただきます。
(註2)「中学2年の時、長谷川先生から博物を教えて貰ったが、最初この学科は好きではなかった。ところが、長谷川先生のひどく自信に満ちた教え振りに次第に引かれ、とにかく授業がおもしろくてしかたがないところまでになった。」そして5年の時、高等師範学校を受験することに決めたが、何学科を選べばよいか相談に行ったところ「とにかく理科をやるなら生命をもつ生物をやれ」。ところが、その年みごとに落第して傷心していると「師範の2部に入っておいて、来年もう一度受験してみたらどうか」とご指導いただき、「叱られると思っていた私は感涙とともに、大いに発奮したのであった。」と述懐されておられます。
 遺伝学者とともに、生徒への具体的で、適切な、そして温かなご指導には、まさに教育者としての長谷川先生が偲ばれます。
 会員皆様の益々のご健勝と、会館建設のご寄附につきましては、ひき続きご協力を賜りたく宜しくお願い申し上げ、ご挨拶といたします。
(註1)黄順姫「同窓生ネットワークにおける信頼」『同窓会の社会学』( 平成19年)
(註2)屋代高校同窓会編「長谷川先生に想う」『長谷川五作先生著作選集』(昭和43年)