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更級支部立ち上げに思う―「新しい橋を架ける」ということ

教育者としての長谷川五作先生(その三)
           会長  赤 地 憲 一(高17回)
 残暑の厳しい折柄、会員皆様には、まずはご自愛のほどを心よりお祈り申し上げます。日頃は母校のために格別なご支援を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。とりわけ同窓会館建設事業につきましては、募金のお願い以来、さっそく、温かなご協力をいただいており、心より感謝を申し上げます。会員皆様の母校への想いが、一枚一枚のお振込み用紙から伝わってまいり、身につまされるようないくつかの感動も戴いておりますところです。着工に向けて一層のご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。
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 このたび更級支部が、十数年の空白期を経て、西澤正人支部長様はじめ役員皆様のご尽力により立ち上げられ、去る五月十四日,同総会が盛大に開催されました。開会での中村洋一事務局長のお言葉が心に残ります。「これまで二十数年この地区で共に仕事をしてきた人がおり、彼も私もこの度の支部総会のご縁で、お互いが会員であることが分かるに及んで、抱えていた懸案事項がスムーズに解決に向かった。」これこそ、黄順姫が『同窓会の社会学』の中で引用している「普通であれば、充分ではないごくわずかな刺激にも新しい橋をかけ、心は
それをこえて他者へ接近する」(註)と指摘している「自発的な献身」に違いありません。
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 このところ「教育者としての長谷川五作先生」について書かせていただいておりますが、海沼寛夫氏(中学20回・西条)からのご書面により、長谷川先生との電車による通学風景が偲ばれました。「松代代官町の先生のお屋敷の前まで行くと、毎朝、数秒の差で先生が門を出てこられ、象山口駅まで、先生の二三歩後を鳩の徽章と共に歩いていくのです。それが我らにはいかに嬉しく、誇らしげであったか、昨日のように思われてなりません。」と述懐されておられます。授業は入学直後から実証実験を通じて進められたと言われます。「メンデル遺伝の法則の実験として、エンドウの別品種の交配を2年間かけて各自が自宅で栽培観察、交配まで行い、翌年その種をまた精種し、生育開花の差を観察して成果が理論通りになることを教えられました。」生物の時間は楽しみでもあり、待ち遠しかったと言われ、各自の実験を通して「生
きた生物教育」を貫かれた先生でありました。
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 結びに当たり、会員皆様の一層のご活躍をお祈りすると共に、創立以来の悲願となっている同窓会館の建設に向けて、一層のご支援を重ねてお願い申し上げ、ご挨拶と致します。
 (註)『同窓会の社会学』(2007・世界思想社)の中で、筆者の黄順姫が引用しているG.ジンメルの言葉。