会長あいさつ

「鳩陵会館の完成記念講座」を経て結婚支援事業へ

教育者としての長谷川五作先生(その八)
会長 赤地憲一(高17回)

 平成も最終年を迎え、会員皆様には、益々ご清祥の段、心よりお慶びを申し上げます。日頃は母校のために格別なご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 さて、鳩陵会館落成を記念した公開講座は、平成30年3月の宮崎和順名誉会長による「代数学の初歩―神秘律の証明―」から、同年7月の宮下達朗・中村峻太郎両君による「私の受験勉強」(7月)まで、計8回にわたり予定通り開催することができました。関係皆様のご協力に、心より感謝を申し上げます。
 そのうち「結婚相談の現状と課題」については、旧高女2校との研修会を経て、6カ月に及ぶ協議の末に、本会としての方針を別掲のとおり提案できるところとなりました。これは、結婚相談委員各位のご尽力の賜であり、心より感謝を申し上げますとともに、会員同士の情報交換を基調とした、同窓会が主催するものに特徴づけられる「共通の学校文化の相同性による『親和力』の作用」(註1)によって、当事業が軌道に乗り発展できますよう、皆様のご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
 教育者としての長谷川五作先生(母校勤務:大正12年・1923年~昭和30年・1955年)について書かせて頂いておりますが、今回は、この度千曲市校長会(代表:若林一成八幡小学校長=高校29回、久保田英雄五加小学校長=高校29回)が長谷川先生について「日本の遺伝学の先駆者」として『信濃教育』に研究論文を掲載されていることについてです(註2)。36頁に及ぶこの論文には、お孫様であられる長谷川徹氏(高校38回)のご協力により得られた、先生の日記等の調査結果が含まれ、太平洋戦時下における教育者としての長谷川先生の姿を伺い知ることができます。
 昭和20年3月~8月戦争末期、敵機の襲来による警戒警報が50回を数えたとありますが、その中、2月の日記には「中学校用の教科書にトウモロコシの雑種において、粒の色が黄色が優性、紫色が劣性となり居る。この二点の誤りなるを知り、不愉快に堪えず」と、このような厳しい戦時下でも教育者として、遺伝学者として、生徒の教材の不備には堪えられない長谷川先生のお気持ちを知ることができました。
 平成に続く新たな年号のもと、会員皆様の益々のご活躍、ご健勝をお祈りして、また、今後とも母校へのご支援を宜しくお願い申し上げ、ご挨拶といたします。
(註1)黄順姫「同窓生ネットワークの機能」『同窓会の社会学』(2007年世界思想社)
(註2)若林・久保田氏ほか「日本の遺伝学の先駆者長谷川五作先生」(『信濃教育』平成30年11月号)